「男はつらいよ・映画版」最終回
TV版の最終回の事を書いたので、映画版の最終回の事も・・・
「男はつらいよ」第48作「寅次郎の紅の花」。第1作が、1969年「男はつらい
よ」。この第48作が1995年「男はつらいよ 寅次郎紅の花」。最後の作品。
このあと、「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花特別編」がありますが、渥美
清さんが亡くなられたのが1996年8月で、この映画が作られたのが、1997年
11月ですから、既存の映像、CGで作られた物で、この48作「寅次郎の紅の花」
が、実質上の最後の映画になります。
この映画には、ほとんど寅さんは登場しなく、昔のような、威勢の良いタンカも聞
かれません。渥美清さんはこのとき、癌がひどく、出演できる状態ではなかった
そうです。
42作目からは、渥美清さんの体の状態が悪く、さくらと博の息子「満男」と、想い
を寄せる「泉(後藤久美子)」の恋物語が、サブストーリーになってきます。
さて、寅次郎の事をみんな心配していますが、なんと、「阪神・淡路大震災」のボ
ランティアとして大活躍しています。TVでさくらが見つけます。
さて、さくらと博の子供、満男の所に、泉が訪ねてきます。この二人も、お互い惚
れてはいるのですが、どうもうまくいきません。泉は満男に、見合いのこと、結婚
するかも知れないことを告げますが、満男は気の弱さで何も言えません。
結局、結婚式の日、満男は結婚式の邪魔をしに。(ダスティン・ホフマンの「卒業」
みたいに、かっこよくありませんが・・・・)
そのまま、一人、足に任せて、付いたところが、奄美大島。偶然に「リリー(浅丘
ルリ子)」に会い、ウチにも居候が一人いるからおいでよ、とついていった家に、
なんと、おじちゃんの、寅さん。毎日、快適に暮らしていますが、
追ってきたのが、破談になった泉。
海岸にいる満男の所にいって、「どうして、あんなことしたのよ?」と詰問します
が、満男は海の中へ後ずさりしながら、「愛してんだよ!」。泉はニッコリして「もう
一度いってよ!」。満男は、海の中に尻餅を。二人の心が通じ合った瞬間です。
それを見ていた寅さん、「無様だね」。リリー「若いんだもの、いいんじゃない、私
たちと違うわ。」
こうして、リリーも付いて、4人帰ってくるのですが、さくらは、「まだ夫婦じないん
だから」と二人の寝るところを、別々の部屋にしますが、これを聞いて、リリー
「あら、一緒でよかったのに」。
リリーは、11作、15作、25作、そして、この48作、マドンナ役としては、一番多
く出演しています。
どの作品も、あと一息で、所帯を持つところまでいくのですが。妹のさくらが、リリ
ーに、寅さんとの結婚を頼んで、「いいわよ」といっても、寅次郎は「冗談だろう」。
寅さんが「リリー、おれと所帯をもつか」というと、「私たち、夢を見ていたのよ。ほ
ら、あんまり暑いからさ」
この作も一緒で、しばらくは仲良く暮らしますが、ささいなことで、リリーは奄美大
島へかえることに。さくらは、寅さんに止めるように言いますが、いうことを聞きま
せん。
タクシーに乗っていこうとするリリーの横に、突如寅さんが座ります。
「か弱い女を一人寂しく旅立たせるわけるにはいかないだろう」
「寅さん、どこまで送っていただけるんですか?」
「男が女をおくるって場合は、その女の玄関まで送るっていうことよ。」
いいセリフですね。ハンフリー・ボガードみたい。私も、このセリフ、いつか使いた
いな。
さて、二人が、奄美大島へ帰って数ヶ月後、リリーからさくらの所に、手紙が届き
ます。また、ささいなことで、喧嘩をして、寅さんが出ていったとか。
寅さんは、災害地の神戸に来ていました。みんなから歓迎を受けるところで、映
画は終わります。
さて、寅さんの映画がなぜ、こんなに長く続いたのか、ユーモアもあり、セリフも
うまく、筋立ても良く、親戚のおじさんに、正論のお小言を言われるような感じも
あり、時として、哲学的なこともいいます。
「それを言っちゃあお仕舞いよ」。私も、カミサンに言いたいことが、山とあるので
すが、そのたび、この「それを言っちゃあお仕舞いよ」を思い出し我慢していま
す。
おかげで、離婚せずにすんでいるわけですが・・・寅さんのおかげです。もっと
も、こちらは、言われっぱなしですが・・・
山田洋二のコメントで、「寅さんあじさいの恋」で、寅さんが、かがり(マドンナ・い
しだあゆみ)の所へ訪ねていって、泊まりますが、かがりが、寅さんが寝ている子
ども部屋に、ランドセルを取りにいく所で、あわやという場面。とらさんは、おっか
なびっくりで、タヌキ寝入りをして、かがりは、ちょっとがっかりしたような顔で出て
いったそうです。
この映画で、大阪・天王寺松竹の支配人から、山田監督が聞いた話だそうです。
映画館は土地柄、酔っ払いや、フーテンが大勢いて、この場面になると、酔っ払
いが「いてまえ、いてまえ(やってしまえ)」と叫んだら、その声に対して、「アホ、
寅はそういうことをせんのがええところやないか」と反論の声が起き、場内爆笑し
たそうです。
高校生の初めてのデートの時、手を握って良いものかどうか、手の甲が触れ合う
と、稲妻に打たれたみたいに、どきっとしたものです。誰でも、そんな純情な時代
の事を覚えているでしょう。そんな、純情な時代の自分を、思い出しているので
はないでしょうか。
約30年間の間の作品ですから、さくらさんもふけました。夫の博さんも少し太っ
たみたいです。寅さんはもちろん亡くなり、おいちゃんも、森川信→村松達郎→
下条正巳と変わりました。おばちゃん(三崎智恵子)も少し細せたみたいで、白髪
が増えました。御前様も亡くなりました。タコ社長は、変わりません。
映画と共に、出演者も年月を経ていく、こんな映画、もう出ないと思います。ヒマ
でない方も、もう一度、是非ご覧下さい。
(参考・引用:「男はつらいよ 寅さん読本~寅さん俱楽部編」より)
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