「剣術修行の旅日記」~永井義男 其の一
剣術修行とか、他流試合とかいうと、すぐに映画の、一対一で、審判がつき、と
いうのを思い出しますが、この本読むとイメージが全然違います。著者の永井義
男氏が、20年ほど前「諸国廻暦日録」を入手。
同書の著書は、佐賀藩鍋島家の家臣牟田文之助。嘉永6年(1853)9月~安
政2年(1855)まで、2年間にわたって、諸国武者修行をした日記。
牟田文之助は天保元年(1830)生まれ、父は吉村市郎右衛門。宮本武蔵の二
刀流の流れを汲む鉄人流の剣術藩士。
当時、佐賀藩の武芸はタイ捨流、柳生流、直心影流、戸田流、無限流、新影流、
時極流等々あったそうですが、二刀流は異色であったそうで、文之助が各地で
修行をする際も、興味を持って見られています。
文之助は、その後牟田家に養子に行きますが、同じく、鉄人流藩士の内田正右
衛門に、同じく鉄人流の手ほどきを受け、父と内田から免許皆伝を受け、佐賀藩
から諸国武者修行を許可されます。
上が、文之助が剣術修行に回った道場です。同じ道場に数日滞在した所もあり
ます。
もちろん、江戸の千葉周作の北辰一刀流の玄武館、斎籐弥九郎の練兵館、桃
井春蔵の士学館といった有名な道場でも、手合わせをしています。
さて、読んで見て、まさに著者が「はじめに」で書くように、「緊張と苦難の連続
や、命がけの修行とはとても思えない。その雰囲気は和気藹々と形容するにふ
さわしい。まるでスポーツ選手同士の交流、交歓といおうか。・・・・・・・世の中に
は剣豪や剣技、剣術流派について解説したノンフィクションは多い。しかし、諸国
武者修行の実態について詳説したノンフィクションは皆無である(研究者による
論文はあるが)。
けっきょく、時代小説や時代劇に描かれた武士の諸国武者修行や他流試合のあ
りさまは、すべてがフィクションではないのだろうか。そして、フィクションがフィク
ションを拡大再生産せてきたのではないだろうか。」
という事で、実際の武者修行、他流試合のありさまはどうだったのか、著者永井
義男氏の本をもとに、ご紹介を少ししたいと思います。目からウロコです。では、
次回。
(参考・文引用:「剣術修行の旅日記~佐賀藩・葉隠武士の『諸国廻暦日録』を読
む~永井義男著より)
« 「節分の日に」~雲仙市橘神社 | トップページ | 「剣術修行の旅日記」~永井義男著 其の二 »
「歴史」カテゴリの記事
- ちょっと大変~古文書(こもんじょ)の出版に向けて(2023.08.24)
- NHK朝ドラ「らんまん」を見ながら・・・(2023.08.10)
- 島原ぶらり~ひな祭りなど(2023.02.23)
- 慶長より寛文に至る間 キリシタン宗門殉教者並に召捕の場所~「切支丹宗門の迫害と潜伏」(姉崎正治著)より(2022.12.06)
- 島原城築城400年~島原市(2022.12.01)
コメント