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2014年12月11日 (木)

「青い鳥」そしてその続編「婚約」又は「チルチルの青春」 その1

 
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「青い鳥」。この絵本で読まれた方が、多いと思います。


両方とも、絵は、いわさきちひろさん。文は左が、高田敏子さん、2001年出版。右が、立

原えりかさん、2005年出版。本の開きは、右開きと、左開きで違っており。絵の数も若干

違います。


立原えりかさん訳の方が小さい子供向け、高田敏子さん訳が、少し大きい子ども向けとい

えます。ほかにも数点出版されていますが、内容は皆さん、ご存じだと思いますので、省略

します。

 2_4 Photo

上の2冊の本は、原典訳で、戯曲になっています。堀口大學の訳もありますが、私が最初

に読んだ、鈴木豊一さんの訳で説明すると、クリスマスの夜、隣のお婆さん(訳では仙女)

が訪ねてきて、娘が病気で、その子のために「青い鳥」をとってきてほしいと。女の子の名

前は「ジョイ」といいます。


チルチルは、お婆さんからダイアモンドの付いた帽子をもらいますが、このダイアを回すこ

とで、不思議なことがいろいろと起こります。


こうして、チルチルとミチルは「青い鳥」探しの旅に出るわけですが、お供は、パン、火、水、

ミルク、砂糖、犬、少し、いわくありげな猫。


原典では

第一幕  第一景  きこり小屋

第二幕  第二景  仙女の家

       第三景    思い出の国

第三幕  第四景  夜の宮殿

       第五景  森の中

第四幕   第六景  墓の前

       第七景  墓地

       第八景  美しい雲を書いた幕の前

       第九景  「しあわせ」たちの花園

第五幕   第十景  未来の王国

第六幕  第十一景 お別れ

      第十二景 朝の目覚め


と、各世界を訪ねながら、「青い鳥」を探します。後は、ご存じの通りですが、違うのは、原

典では、最後に「青い鳥」が、鳥かごから逃げ出してしまうこと。ここの解釈は、いろいろある

みたいですが、各自で判断を。


なお、原典を読むと、衣装も


・チルチル  ペローの童話の「親指姫」の衣装。真紅の半ズボン、やわらかい感じの青い

         短い上衣、白い靴下、鹿皮の短靴または長靴。

・ミチル    「グレーテル」または「赤ずきんちゃん」の衣装

というように、細かく指示もあります。


チルチルとミチル、二人の兄と妹かと思っていたら、


仙人     弟や妹は?兄弟はあるんだろう・・・・・・

チルチル  うん、弟が三人・・・

ミチル    それに妹が四人

仙人     どこにいるんだい

チルチル  やっぱり死んでしまったんだ


と、チルチル、ミチルの家の貧困さを暗示してあり、「未来の王国」では、一人の子供から

声をかけられますが、これが、この後生まれる、もう一人の弟らしいのですが・・・結局


子供     そのあと?・・・・つまりまたお別れなんだよ・・・

チルチル  だったら、なにもわざわざ来ることはないだろ!・・・

子供     思いどうりにはならないんだもん・・・・・

と、この子も、死ぬことを暗示しています。


さて、青い鳥は本当にあるのか?「夜の宮殿」の台詞に


夜    あの子たちは鳥をつかまえなかったね?

猫    とられませんよ・・・・あそこに、月の光の上の方に見えますよ・・・・連中には手が

      届かなかったんですね、あんまり高いところにとまっていたんで・・・


などと、「青い鳥」にかぎらす、随所に、いろんな暗示的な事が書いてあります。ここまでいく

と、大人の物語。


さて、原作は1908年発表。1909年(明治41年)ロシアの「モスクワ芸術座」で初演、翌

年にはロンドンの「ヘイマーケット座」で、1911年には、パリの「レジャーヌ座」で上演。


「我が国では、1920年(大正9年)に初演なりますが」(冨田弘之氏)としたものもあり。「日

本初演の『青い鳥』 大正11年、民衆座は、チルチル・水谷八重子、ミチル・夏川静江の配

役で、有楽座において戯曲『青い鳥』を上演した。」(滑川道夫氏)との記述もあり、これは

確認できませんでした。


なお、翻訳の方は、1909年に小山内薫が「青い鳥」の概要を発表。翌(1910)には、詩

人でドイツ学者の荻野粛々が金星草という筆名で、第一幕の翻訳を「スバル」に発表、翌

1911年には島田元麻呂・東草水で抄訳の青い鳥が出版され・・・・(冨田弘之氏)、その後

続々と翻訳をされています。なお、メーテルリンクは、1911年にノーベル文学賞を受賞し

ています。


また、ネットで国立国会図書館を調べたところ、「1911年には島田元麿呂・東草水は抄

訳」ではなく、全訳みたいなのですが・・・興味ある方は、国会図書館のホームページから、

引き出せますので、お読みください。(国立国会図書館デジタルコレクションで「青い鳥」で

検索・実は、私まだ全部は読んでませんが・・・・スミマセン)


前書きで、「『青い鳥』は原名を、ヒロアゾー、ブルゥといって白耳義(ベルギイ)の文学者

メーテルリンク氏の作であります。

この翻訳は、始め島田元麿君が露語に依て譯されたのを更に私が英譯をして筆を加へた

のであります・・・・・島田君は露西亜(ロシア)留学中に、度々『青い鳥』をご覧になったそう

です。・・・・・・明治四十四年七月十七日 草水」となっています。


なお、作中の、チルチル、ミチルは、「近雄」、「美知」となっており、時代を感じさせます。


ということで、図書館を荒し回って探し回っていたら、変な本と出会いまして・・・・

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誰かが、チルチルを素材に書いたかな、と思っていたら、「メーテルリンク原作」と書いてあ

るではありませんか。


調べると、「青い鳥」の続編になり、この本は残念ながら、完訳ではありませんでした。とい

う事で、完訳本がないか調べること、一週間あまり。この本には、続編の名前が「いいなず

け」とあるので、これを手がかりに、やっと見つけ出しましたが、なかなか無いはずで、第二

次大戦後(戦前には有り)、出版されたこともなく、上演されたこともない、という事でした。


次回をお楽しみに。なお、重松清氏の作品に「青い鳥」というのがありますが、こちらとは

関係ないので、念のため。








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