日本の特別地域 63 「これでいいのか 長崎県」~岡島慎二・土屋幸仁編
人間は、他人から自分がどう見られているか、気になるもの。ウチのカミサンも、服を買った
時とか、美容院に行った時は、気にしているようですか・・・・・
同じように、自分の住んでいる県を、他県の人がどう見ているのか、少しは気になって、今
日、出ていた本を、買ってみました。この本、埼玉県とか、香川県とか、千葉市とか、世田谷
区とかシリーズ物で、63冊ばかり出版されているみたいでした。
「長崎、佐世保は同類にして永遠のライバル!!」「佐賀の属領!?ビミョウー過ぎる松浦
のポジション」「毎度熱心な県庁の移転案 長崎の中心と大村は叫ぶ!」・・・・おふざけ本
か、と思って立ち読みすると意外に、詳しく、微妙な所まで書いてあって真面目な本です。
作者は、長崎県出身ではないようですが、それだけに、長崎県人とは違った見方もあり、長
崎県の歴史についても、よく纏まっています。
「秀吉による九州仕分けで、龍造寺(鍋島)氏、松浦氏、大村氏、有馬氏、五島氏、宗氏
(注:対馬)が領土を安堵された。諫早の西郷氏は秀吉への服属が遅れたので領地は龍造
寺氏の支配となり、長崎は公領となった。この肥前の領地仕分けは江戸期にも踏襲されつ
つ、さらに細分化され、佐賀鍋島藩、平戸藩、大村藩、島原藩、五島藩、対馬藩の6藩と、
天領の長崎、平戸藩と五島藩内に2つの旗本領(富江領、今福領)、諫早周辺に3つの鍋
島家臣領(諫早領、深江領、神代領)が独立勢力として分立。長崎県域はバラバラ状態に
なった」。こんな事、知っている人、長崎にも滅多にいません。学校でも教えません。
中味をすこしばかり
最初、「長崎県のイメージの良さは九州7県の中でもトップクラスだろう。・・・・」と良いこと書
いてあるな、と思ったら、「しかし、このイメージは長崎市を中心としたもの。実際の長崎はも
ともと小藩が割拠していたため、旧藩エリアごとに分立してまとまりが悪いのだ・・・平成の
大合併では地域ごとによくまとまり、日本一の市町村減少率を記録した。だがその過程が
ヒッチャカメッチャカだったせいか、今も不平不満があちらこちらで噴出。・・・・」耳の痛い話
ですが、本当の事です。
■市町村減少率は最大でもまとまりが感じられない!
・将来の財政不安が市町村合併を誘発
・まとまったはいいが合併経過はかなり複雑
まさに、その通りでした。大きな市に吸収された町は、哀れなものです。実際に話を聞きま
したが・・・・
■方言の地域差がデカ過ぎ!でも長崎弁は好イメージ
・長崎県の認知度は意外に高い!?
・同じ県民なのに言葉が理解不能
「女の子がしゃべるとかわいい方言はどれですか?」のアンケートで
一位が京都弁、二位が大阪弁、三位が福岡弁、なんと四位が長崎弁、五位が宮﨑弁。
私、長崎市内の育ちですが、千々石に来て「アンマリウースギテ イッダン コマルバナイ」
(あまり多すぎますので、かえって、困ります)など言われて、??????
最も、今の若い人は、少し訛りながらも、標準語を喋ります。
■大造船都市の県都 三菱笑えば長崎も笑う!
昔は、三菱造船所勤めの方は、裕福で、長崎市では「三菱の方、県庁の人、市役所のやつ
(もん)」という言葉があり、飲み屋で、県庁の人が、「三菱の人にはツケますが、県庁の人
にはツケません」と言われたとか。
■行き当たりバッタリの観光政策で長崎は大丈夫か
・異国情緒がウリだがそんな感じがしない?
他県の人から見ると、そんなに見えるんですか?
■西彼杵郡と長崎地域のハチャメチャ合併問題の顛末
これ、複雑なので、興味ある人は読んでください。
■影が薄い!存在感がない!!評価されない諫早の真の実力
近くのせいか、そんな気があまりしないのですが・・・・
■バラバラシマバラで勃発するか!?南島原の乱
南島原市の合併の時は大変でした。原城、日野江城、キリシタン遺産を抱え、現在「世界
遺産登録」に頑張っているところです。
ちょっと、気になった記事が・・・島原鉄道。この方面は廃線になりましたが、「廃線区間の線
路を中国に売り払ったとウワサの島原鉄道も・・・・」。本当ですか?
■ついに船の街が前近代化産業に見切りをつけた!?
・潜水艦の如く業績が浮き沈むするSSK(佐世保重工業)
これ、本当の事かどうか分かりませんが、世界最大のタンカー・日章丸をSSKが作った頃、
左団扇の経営で、自衛隊が、艦艇の修理を頼んだところ、SSKは「割に合わん!」と断った
そうで、それ以降、造船業が不況になっても、自衛隊はSSKだけには仕事を発注しなかった
そうです。10年前くらいから、自衛隊からの仕事を受けられるようになったそうですが。
■合併御免!孤高を貫く佐々&小値賀(おじか)は現代の傾数者(カブキモノ)?
・なぜに高飛車でいる!?佐々に向けられた非難轟々
・先行き厳しい小値賀に送られる拍手喝采
作者はこう書いています。「滅多やたらな合併は結局地元民にとってデメリットしか生まな
い、というのが筆者が導き出した答えだが、時には反骨心を持つことも保身のためには必
要、ということを長崎県民は知るべきだ。」
佐々町、小値賀町は合併しませんでしたが、佐々町はいろいろあって、「佐々の独立は
散々にこき下ろす人が多いのにたいして、小値賀の姿勢は評価する人ばかりだった」。
小値賀は若いリーダーがおり、いろんな活動をやって、その人が町を引っ張っていて、それ
が評価されているそうです。
合併については、ある商店主が合併に賛成で、合併後、しばらくしたら仕事が思うようにい
かず、店を閉めました。今や、千々石の商店街は、いろんな事情で、シャッターを下ろす店
が多くなりました。
あと、石木ダムの問題、壱岐(離島です)はなぜ福岡を選ばなかったのか!?(対馬も同じ
です)等、多くのことが書いてあり、チョット違うなとか、耳の痛い話とかありますが、これは
「良薬に苦し」で・・・・読んでみて、長崎にエールを送っているような感じの本でした。
(文引用:「これでいいのか長崎県~岡島慎二・土屋幸仁編」より」)
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