「センゴク一統記 第十巻」~宮下英樹著
「センゴク一統記」、十巻目が出てました。もう良い加減止めようと思うのですが、小説等の
楽しみは、最後がどう書いてあるか。
ここで止めては、推理小説の犯人を知らないまま、途中で読むのを止めるのと一緒、という
事で、又、買ってしまいました。
「信長の死は 東西にかくも大規模な 紛争を誘引した」。ご存じの通り、信長の遺子、「三
法師」が跡継ぎと決まったものの、徳川幕府ができるまで、まだまだ紆余曲折があります。
「前田利家ら 柴田ー羽柴の 調停役として 京に上るも」、秀吉に会うが、うまくいかず・・
柴田勝家は「我自ら船頭に立ち 織田家を率いるほかない 是ぞ上様が御下知と存ず こ
の権六 明智を打ち損じたは このためであったと存ず 真の謀反人を討つためであった
逆賊木下藤吉郎 成敗すべし」と決心。
「戦てぇのは 片っぽが悪かろうが 結局 ”勝った側が正義”になっちまうんじゃなーと・・・
あとはそれに勝ちゃあ ワシが織田家をもろうたとて 誰も文句を言わんちゅうこっちゃ!!
・・・・・・織田家は誰のモンか 上様のご一族が継ぐのが正しいかっ ホンマにそうかっ お
天道(てんと)さんから見りゃ ワシとどう違うってんだっ 是非もねえっ 貴賤も上下もある
かいや つまるところは 所詮 人ごときが作って決めたことじゃ つまるところは 織田家
は誰のモンでもねぇ 織田信長の跡継ぎゃあ お天道さんが 決めるんじゃ これがこのワ
シ 羽柴秀吉じゃあーっ!!」とこれまた決心します。
このときの地の状況は
柴田勢と羽柴勢が、クロスして、これを分断すれば、有利になります。
主人公の仙石権兵衛は、黒田官兵衛と阿波国にいますが、黒田官兵衛は呼び戻され、次
いで権兵衛も呼び戻されます。
賤ヶ岳の合戦といっても、馴染みが無いと思いますが、陣立ては
城塞がズラリと並んだ、戦いです。このため膠着状態になりますが、羽柴側は他大名から
の揺さぶりを考えます。
すなわち、羽柴側がどこかの大名から攻められると、膠着状態が解け、柴田側が動き、雌
雄を決することができます。
動いたのが、四国の長宗我部。仙石権兵衛は再び四国へ・・・・このときの関係は下の図の
ようになります。
ちなみに賤ヶ岳合戦と、仙石権兵衛の四国の引田合戦は、同じ日に先端が開かれていま
す。
マンガといえど勉強になります。こうして図示してあると、よく分かります。「賤ヶ岳合戦」と
か、「引田合戦」なんて、学校の教科書には載ってません(ですね)。世界史を選択していた
ので、日本史は分かりませんが・・・・
さて、この二つの合戦。どんな、展開を見せるのか楽しみです。
以前紹介しましたが、このマンガ書くために、作者は多くの資料を参考にしており
「改選 仙石家譜」「信長公記」「川角太閤記」「雑兵物語」「「天正記」(惟任退治記、柴田合
戦記)」「日本史(ルイス・フロイス)」「見自鏡」「晴豊記」「日々記」「籾井家日記」「牧田茂兵
衛氏所蔵文書」「惟任謀反記」「備中兵乱記」「溝江文書」「立入左京亮入道流佐記」「「明智
氏一族相伝系図書」「多聞院日記」「本城惣右衛門覚書」「本能寺文書」「熊谷家文書」「言
経卿記」「蓮城院記録」「兼見卿記」「黒田家譜」「中国兵乱記」「三河物語」「日本耶蘇会年
報」「離宮八幡宮文書」「長元物語」「元新物語」「「元親記」「秋田家文書」「南海通記」「毛利
家文書」と、参考文献の所に並んでおり、スゴイですね、このマンガ侮れませんよ。
(文・絵引用:「センゴク一統記 第十巻~宮本英樹著」より)
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