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2014年8月31日 (日)

日見の「腹切坂」~長崎市 その4

Photo Photo_2

歳取ったら、早めに眠くなって、昨日はどうにもならなく、眠ってしまいましたが、今日で最後

になります。


左の写真が、塔に向かって一番左の「一字一石塔」になります。右の写真が、中央にある

「六六(六十六)部」、右側の方に「奉納 大乘妙典六十六部日本洄國供養」と書いてありま

す。「六十六部」については、「長崎県文化財報告書」に次のように書いてあります。


■六部塔

六部塔は正式には六六部塔で、・・・刻印の通り大乗妙典とよばれる法華経を六六部を用

意し、全国六六ヵ国に一部ずつ納めて廻る納経塔で、廻国塔とも呼ばれる。弥勒下生まで

の間、経典を国々の霊場に保管しておくという信仰にもとづくもので、廻国の行をする人を

六部と呼んだ。


裏に「肥前州高来郡日見村庵主 □□院叔明誠□比丘□建立」と書いてあり、「庵主」とは

「三省堂大辞林」によれば、「①草庵の主人。特に、尼僧 ②庵室を構えている人。 ③茶室

の主人。亭主。」とあります。


なお、「比丘」は、① 出家して,定められた戒を受け,正式な僧となった男子。僧。苾蒭(び

つしゆ・ひつすう)。② 誤って,比丘尼をいう 。」となっておりました。ここの 庵主さん、男性

でしょうか?女性でしょうか?


「比丘」の下の「□」は「敬」みたいで「敬建立」になるようです。


下に台座があり、苔が生えて読めませんでしたが、ありがたいことに、「日見の史蹟」に記

録してあって、「石塔之施主 日見住民 重松喜平次」とありました。


さて、いよいよ右の碑ですが、これがどうも墓らしく。「居士」の字が彫ってありました。

Photo_3 Photo_6

「元禄」は読めると思います。
2

■「右の碑(墓)」です。これも、字が薄く読めないところがありましたが、「日見の史蹟」に、

  記録してありました。

①  白襌道由居士

②  元禄9年(1696)子丙 正月三日

     俗名 吉村忠衛門尉藤原重道

いずれにしても、名前から見て、偉い方みたいな氏名ですね。




さて、腹切坂の名称は、主に2つと、越中哲也氏の説がありましたが、年代順に見ると、



① 吉村衛門の碑  元禄九年(1696)

   (これは、村人が一応埋葬し、その後、供養のために建てたとも考えられます。何れ    
     にしても、元禄九年以前の果たし合いです。)

② 六部塔        宝永六年(1709)

④ 一字一石塔     正徳四年(1714)

⑤ フェートン号事件  文化五年(1808)


前に「腹切坂」の昔の絵を載せましたが、あの絵については、「長崎古今集覧名勝圖絵」か

ら取ったものですが、これについては、長崎文献社から出版されていますが、越中哲也氏

「長崎古今集覧名勝図絵について」の「はじめに」で、天保十二年辛丑石崎融志がつくった


長崎古今集覧序に「此書安永之比大塚良夫・・・・・・・」とあり、「此の書とは長崎古今集覧


絵図のことである。」とあり、なお、「融思は此書の編纂には老令より思い立ったというので


あるから、本書を融思が手がけたのは融思六五才のおり(天保三壬辰年臘月)唐絵目利本


役を辞し隠居した後に筆を起こしたのではなかろうか。」とあり、いずれにしても、天保時代


(1830~1844)であり、フェートン号事件については、すでに知られたこと思われ、十数


名の侍が腹を切りながら行ったものだけに、「腹切坂」という名称、「武士の立ち会いの切

腹なのか」、「「フェートン号」が絡むのか、本を書いた方も随分悩んだことでしょう。



と、夏休みの自由研究には書いておこう。さて、2学期が始まります。頑張りましょう。                       


                                           (この項、おしまい)



なお、日見公民館の先生、教宗寺の方には親切に教えていただき、心から感謝致します。


(参考・文、写真引用:「長崎街道 長崎県文化財調査報告書 第154集」「長崎街道~永  

 島正一著」「長崎古今集覧名勝図絵~越中哲也著」「長崎街道を行く~松尾卓次著」「日 

見の史蹟~日見地区公民館著」「長崎”街道周辺の史跡”~岩永弘著」、各説明版より)

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