「カモメのジョナサン(完成版)」~リチャード・バック★五木寛之創訳
先日のNHKTVのニュースで、この本の事を紹介してました。「東京の本屋に並べられ
て・・・」
6月27日(金)のことで、早速近くの「TSUTAYA」さんに行ったら、予定どおり、置いてあり
ません(田舎だから)。
6月28日に行っても、まだ置いてありません。6月29日は日曜日で、雑誌等の送配はあり
ません。6月30日、この日はあるだろうと思ったら、まだでした。7月1日、まだです。7月2
日、おかしいですね。7月3日、諫早の本屋さんに行っても、ありません。7月4日、まだま
だ。7月5日、本日ですが、ありませんね。でも、この本読んじゃいました。
以前、村上春樹氏の「1Q84」の時も同じ状態で、どうせ、こちらに来るのは遅いと分かって
いるので、6月28日、Amazonに予約注文を入れていたのですが、それでも、お届け日
が、7月2日~7月4日。今日、予約注文を見たら、「2014年7月13日入荷予定です」。売れ
ているんですね。
ちなみに、私の本の奥付を見ると、「2014.6.30発行」となっていましたから、6月28日発行
は、勇み足ですね。
さて、この本、「Part One」から「Part Four」までの四部構成で、「Part Three」までは、
40年ばかり前、出版され爆発的な売れ行きをした本です。
中身については、「ほとんどのカモメは、飛ぶという行為をしごく簡単に考えていて、それ以
上のことをあえて学ぼうとは思わないものである。つまり、どうやって岸から食物のあるとこ
ろまでたどりつき、さらにまた岸へもどってくるか、それさえ判れば充分なのだ。・・・・重要な
のは飛ぶことではなく、食べることだった。」
これに対して、「この風変わりなカモメ、ジョナサン・リヴィングストンにとって重要なのは、食
べることより飛ぶことそれ自体だった。」という事で、飛ぶことに、熱中して、カモメの群れか
らも追いだされますが、その後・・・・・・という物語なのです。
この物語、1970年代に売れた本で、あの頃は、70年安保、大学紛争、ベトナム戦争、反
戦デモ等があっていた時代で、今の若い方には、また、別の読み方もあると思いますの
で、先入観なしで読んでもらう為に、これ以上の粗筋の紹介は避けます。
NHKニュースでは、キャスターが「Part Fourでは、・・・・・・」と中身の紹介をしていました
が、あれは、反則ですね。流行している推理小説を紹介しながら、「この本の犯人は
○○○○です」、と言うのと一緒で、おかげで、「Part Four」の中身が大体判って、面白さ
が半減しました。NHK9時のニュースの男性のキャスター、デリカシーというものがありませ
ん。
さて、五木寛之氏、今回の後書きと、1974年の後書き、二つ載せてありますが、じっくり読
むと、氏の若い時と、現在の考えの違いがあって、興味深いものです。
この、「Part Four」を発表したいきさつについては、2年ほど前、自ら操縦していた飛行機
で事故に遭い、九死に一生を得たことがきっかけで、旧作を見直した、という説明をあちら
こちらで見かけますが、前書きの、「完成板への序文」を読むと、以下のようであったようで
す。
妻のサブリナが、ごちゃごちゃの紙くずのあいだから、ぺちゃんこになった「Part Four」
の原稿を引っ張り出し、読んだ事がきっかけらしく、その中で、
「あんたのいる二十一世紀は、権威と儀式に取り囲まれてさ、革紐で自由を扼殺しようとし
ている。あんたの世界は安全にはなるかもしれないけれど、自由には決してならない。わか
るかい」そして、最後にこう言った。「おれの役割は終わった。次は、あんたの番だよ」
「ついにあるべきところに置かれた最終章Part Fourは、そうは言わないだろう。誰も未来
を知らなかった時に書かれたものなのだから。」少し分かりにくいと思いますが、全文読む
と、なぜ、今になって「Part Four」を出したのかが良く判ります。
読みながら感じたのは、日本も集団自衛権の問題で、大きく変わろうとしています。我々は
安全を選んでいくのか、自由を選んでいくのか、どちらが良いのでしょう。
ふと、ジャニス・ジョプリンの「Me and Bobby McGee」の一節、「Frrdom's just another
word.For nothing left to lose.」、「自由とは、別の言葉で言うと、失うものが何もないこと」を
思い出しました。心身共に、自由を得ることは、努力を要し、困難で、ある面不自由な事を
招きます。自由とは何か、そして、自由を得るためにどうすれば良いか、この本はそれを問
うているのではないかと思います。
最後の一行が、グットくるくらいカッコ良いんですが、これはお読みください。
【おまけ】
本を読んで、海にカモメを見に行ったのですが、いつも溜まり場になっているところには、一
匹もいず、岩の上に一匹だけ。群れを離れた、ジョナサンで、今から飛ぶ練習をするかと
30分ばかり見ていましたが、動きもせんでした。どうも、ジョナサンとは違うみたいでした。
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コメント
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「カモメのジョナサン」は懐かしいですね・・・とは言っても「社会現象」としてであり本自体は未読ですが^^;
>NHK9時のニュースの男性のキャスター、デリカシーというものがありません。
土日の夜に放送されるスポーツニュースでもほとんどの場合試合結果が判る言い方をしますね
だから見る場合は音声を消すようにしているのですが時々テロップで判ることがあり「余計なことを」と思っちゃいます
投稿: 心づくし | 2014年7月 6日 (日) 10時46分
考えてみれば、フォークソングも、ビートルズも、アングラ演劇、藤圭子。広く言えば、戦後社会があったから、美空ひばりも出てきたわけで、まあ、良いものは残ると、言うことでしょう。
ニュース関係は、場合によっては、説明しすぎな場合がありますね。
投稿: sugikan | 2014年7月 6日 (日) 13時45分