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2014年7月30日 (水)

「人民の移住と娼婦の出稼ぎ」 その2~福沢諭吉?

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先日、忘れたことを。「天ハ人ノ上ニ人ヲ造ラズ人ノ下ニ人ヲ造ラズ」、これが、福澤諭吉の

言葉で無い事は昨日書きましたが、この事は、「慶応義塾大学」のホームページ、「慶応義

塾を知る・楽しむ」の「慶應義塾豆百科 22 考証・天は人の上に人をつくらず・・・」に載っ

ております。自分の学校の事ですから、本当の事でしょう。


余談ですが、「福沢諭吉は謎だらけ。~清水義範」。


「一 世の中で一番楽しく立派なことは、一生涯を貫く仕事を持つということです。」「一 世

の中で一番みじめなことは、人間として教養のないことです。」・・・・・・・という「心訓」も、実

は、福澤諭吉の言葉では無かった、と言うことを中心に書かれていますが、これも、大学の

ホームページの同ページに載せてあり、「98 福沢心訓」をご覧下さい。


さて、昨日の続きですが、男女同権、夫婦敬愛、女性自立等を述べた福沢諭吉が、「人民

の移住と娼婦の出稼ぎ」を書くはずがあるまい、と調べていたところ、出会ったのが「福沢

諭吉の真実~平山洋著」。


この本は、「福澤諭吉全集」を徹底的に分析をしていますが、「福沢諭吉全集」といえば、全

文、福澤諭吉が書いたものと思いますが、これが、違っていて、詳しくは、同書を読んでい

ただきたいのですが、全集に含まれいる、「時事新報」論説は、下記のようカテゴリーに分

けられるそうです。


Ⅰ 福沢が全てを執筆した「福沢真筆」

Ⅱ 福沢が立案して社説記者が下書きをし、さらに福沢の検閲を経た「福沢立案記者起   

   稿」

Ⅲ 記者の持ち込み原稿に福沢が添削を施した「記者立案福沢添削」

Ⅳ 全面的に記者が執筆をして福沢は全く関与していない「記者執筆」


という事で、現行版「福澤諭吉全集」に納められている「時事新報」は、全部が全部、福澤

諭吉」が書いたものでは無いと言うことです。


福沢諭吉の「新版現代かな常用漢字 福翁自伝」にも「しかし私も次第に歳をとり、いつま

でもコンナことに勉強するでもなし老余はなるたけ閑静に日を送るつもりで、新聞紙のこと

も若い者に譲り渡してだんだん遠くなって、紙上の論説なども石河幹明、北川礼弼、堀川

帰一などがもっぱら執筆して、私は時々立案して、そのできた文章を見てちょいちょい加筆

するくらいにしています。」と述べています。


では、「人民の移住と娼婦の出稼ぎ」はどうなのか?


意外なところから、答えが出て、「福沢諭吉は謎だらけ。」に「人民の移住と娼婦の出稼ぎ」

の事も書いてありますが、これを「福澤諭吉の真実」の著者、平山氏が読んだらしく、平山

氏が清水氏に書簡を送っており、それが、blechmusik氏のブログの資料集→平山洋関連

→「2006年10月23日付 作家清水義範氏宛て」に触れてあります。


以下は要約ですが、「人民の移住と娼婦の出稼ぎ」は、昭和版で福沢の自筆原稿は残存

せず、下書きは石河と断定はできるものの、そのアイディアを福沢が出したかどうかについ

ての証拠はまったくない。


この時期、仕上げにかかっていたのが「福翁百話」で、その中には海外移住をテーマの話

は無く、明治28年11月から明治29年1月の書簡にも、海外移住に触れたものは無かった

そうです。


また、社説掲載の明治29年1月18日は、帝国ホテルで開催予定の立食パーティーの準

備に忙殺されていたようです、と書いてあります。


要するに、この論説は、石河自らの関心から執筆して、満蒙開拓のブームにのって、福沢

先生が書いたものとして、「続全集」に採録したもののように見える、と述べられています。

なお、この論説には、著者の「福澤諭吉」の署名は書いて無く、無署名になっています。


現行版「福澤諭吉全集」出版については、「慶應義塾豆百科  No.55 『福澤諭吉全集』」に

触れてあり、この全集は「慶應義塾設立百年記念出版」ですが、平山洋氏は、「おわりに」

の最後の所に「現行版『福澤諭吉全集』の『時事新報論集』をこのまま放置しておくことは許

されぬことであろう。」と結んであります。


「全集」と名前が付いていれば、全部、福澤諭吉が書いたものと誤解し、ネット、本等を見る

と、「全集」の「時事新報」を前提として書いてあるものが、随処に見受けられたました。

なお、平山洋氏の著書は「福澤諭吉と慰安婦」などもあります。    (この項 終了)



(参考・文引用:「福沢諭吉の真実~平山洋著」「福諭吉は謎だらけ。~清水義範著」「福翁 

 自伝」、現行版「福澤諭吉全集」、ブログ「blechmusik」「慶応義塾大学ホームページ」)






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