長崎の石橋★大手橋~長崎市 ③
(「長崎歴史文化観光検定公式テキストブック~総監修 越中哲也・原田博二・(財)長崎地
域政策研修所・長崎商工会議所刊」より)
長崎市内に住んでない方には、なかなか分かりにくいと思いますが、丁度良い本があった
ので・・・・表紙裏の「長崎版画『享和二年肥州長崎図』(1802)」の地図の一部です。
青色の線が長崎街道。下の赤丸印より、「一の瀬橋」。真ん中の赤丸印が「古橋(中川
橋)、一番上が今日ご紹介する「大手橋」になります。
こうして見ると、長崎市内までの出入りには、3つの橋が、重要な役割を持っていることが
分かります。
今日は、黒の矢印間、新大工町商店街を紹介しながら、大手橋まで。
赤の矢印が「眼鏡橋」です。多分。この辺りの橋は皆さん、観光に行かれると思いますの
で、あと、黒丸印の上から「桃渓(ももたに)橋」「高麗橋」「阿弥陀橋」。こちらまでは足を伸
ばさないと思いますので、次回に紹介します。
さて、大手橋に向かう新大工町商店街。何年かぶりに行ったら、そのままの所、変わったと
ころいろいろありまして・・・・・・ここは、以外と賑わいがある所で、もちろん長崎街道です。
こちらは、一階がいろんな店が入っている、新大工町市場で、二階から上は、デパートの
玉屋でしたが、一階はいつも、買い物客が多いのですが、デパートはお客さんが少なく、
先日、閉店しました。
あと、近くに、二つほど市場があります。
左が、昔は長崎で一番大きかった本屋「好文堂」の支店があったところ。病院に変わってい
ました。建物の形は変わっていないので、内部だけ改装したのかな?
右は、「トルコライス」で有名な「ツル茶ん(つるちゃん)」の支店があったところ。
「ツル茶ん」については、「トルコライス マニアックス」をご覧下さい。
お菓子屋さんのウィンドーに「長崎街道への入り口」として、「舞鶴座」の説明が。
なんと、右の写真あたりになるそうですが、明治23年、開設された劇場だそうで、横の旧玉
屋デパートから、表通りの電気軌道を越えるほどの大きさで、敷地約1700坪、建坪600
坪、総檜造り、吊り天井、せり上げがあり、収容人数3,800名(当時の歌舞伎座が、建坪
457坪、収容人数約2,000名)。長崎にも凄い劇場もあったんですね。
お酢屋さんです。お酢を造っています。左ののれんは、パチンコ景品交換所。
覗いたら、懐かしい電話機がありました。もっと古いのは、右の方にハンドルがあって、交
換手さんを呼び出していましたが・・・・
もう少し行くと、大手橋です。もはや、石橋の面影もありません。
横から見て、やっとアーチ橋だということが、分かります。むこうに見えるのは、鎮西橋。
この橋は、長崎への出入り口として、重要な橋なのですが、手すりにしても、もっと情緒が
あるようにできなかったのでしょうか?
親柱が、近くにあるというので、捜しましたが、分かりませんでした。「おふて橋」と刻んであ
るそうです。
宮田氏の「中島川遠眼鏡」によれば、この大手橋の擬宝珠親柱一本を眼鏡橋に補充活用
したという事が、長崎談叢第二十三輯に載っているそうです。なお、橋は、中島川支流の堂
門川(西山川)にかかっていたので、堂門橋と呼ばれていたそうです。
昔は、石橋でなく、壮麗な木廊橋が架かっていたそうですが、痛んで、竹橋になっていたそ
うです。これを、唐通事の高一覧が石橋として、慶安三年、完成させたそうです。
高一覧は、、山口氏によれば、生まれは薩州、父は「鎌田新右衛門」。幼い頃中国人の養
子となり、養父の福建省に渡り、後日本に戻り、通事になったとあり、宮田氏によれば、高
一覧は福建漳府の人、高寿覚の子で、高寿覚は鹿児島に渡来し、一覧は鹿児島県の川
内で生まれたとなっています。唐通事は不便なので、各々日本名を持っていたそうで、どう
なんでしょう?
なお、「大手」については、宮田氏は、長崎から江戸に向かう街道の重要地点なので、長崎
の大手に当たるという意味と思われる。とあり、山口氏によれば、この辺りは、「諏訪神社」
長崎の領主「長崎甚左衛門」の屋敷を始め、昔の古い町が片渕や中川付近にあったので、
その入り口には大手門があったのであろう、と書かれています。
なお、大手橋に平行するように「鎮西橋」があり、昭和9年の築造。電車軌道が走って、長
崎市内から郊外に行く大動脈の一つです。電車の停留所がある所が橋です。
横から見ると、アーチ橋という事が分かります。
参考・文引用:「中島川遠眼鏡」「九州の石橋を訪ねて」「長崎事典」「長崎古今集覧名勝
図絵」「ふるさとの思い出 写真集 長崎」、「長崎歴史文化観光検定公式テキストブック」
各説明版より」)
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