「超高速!参勤交代」~土橋文宏著★映画が先か、読書が先か
先日は少しシリアスな、「乱」を紹介しましたが、本日は、冒険時代活劇小説と言ったらいい
のか、「超高速!参勤交代」の本の紹介です。この本、6月21日から映画化、上映される
そうですが、本の出版が昨年の9月27日、本年5月23日が、第7刷りですから、意外と売
れてる本のようです。
主人公は、陸奥湯長谷(ゆながや)藩一万五千石藩主、内藤政醇(まさあつ)。
ご存じのように、江戸時代、各藩に財政負担をかけさせ、力を削ぎるためと、人質として、
江戸に妻と子を住まわせる、参勤交代の制度があり・・・・(皆さん、学校で習いましたね、以
下略)
とにかく、この参勤交代、金がかったそうで、なにしろ、大名行列ですから、威信をかけま
す。
ちなみに、ウィキペデアをみると、天保12年(1841)の紀州徳川11代藩主の時は、武士
1639名、人足2337名、馬103頭であったということで、これ、飯を食わせて、宿屋代、将
軍、幕臣への付け届け、諸経費を入れると、どれくらいかかるのか。なお、小説にも出て来
ますが、小藩においては、宿場町を通る時だけ、威厳を保つため、臨時雇いの家来を使っ
たそうです。
さて、小説の方ですが、主人公が参勤交代で、地元、湯長谷(アバウト、湯元の近く)に帰り
ますが、すぐに江戸より使いが来て、上様(徳川将軍)から、5日後の戌の刻(午後8時)ま
でに、江戸城に出仕せよとの命令。1年おきの参勤交代が、地元へ戻って、すぐ江戸へ出
仕とはあり得ないこと。
裏には、湯長谷藩を潰し、藩が試掘した金山を、かすめ取ろうという、老中松平信祝の陰
謀。江戸まで5日間で着けるか?着かなければ、廃藩になって、松平信祝の思うつぼ。(金
山については、どんでん返しがありますが・・・)
(「超高速!参勤交代」より)
なにせ、赤丸印の所。しかも、大名行列で、馬でひたすら駆けるのみ、という訳にもいか
ず・・・・
なにはともあれ、一刻も早く出発という事で、普段は100名(小藩なので)ばかりの行列を、
わずか8名での大名行列。
後はどうなるか、凄い忍者まで登場し、活劇あり、ユーモアあり、人情有り、恋あり、といっ
た物語が展開しますが、あとは、皆さん映画で楽しむか、小説でたのしむか?自己責任で
選んでください。最後の裏もあるのですが、言ったら面白くないので・・・・
なお、悪役になる、松平信祝は延喜元年(1744)、病気により、老中辞職を願い出ます
が、許されず、4日後に死亡します。ここは、小説と史実は一緒です。
主人公の内藤政醇は寛保元年(1741)9月5日に死去します。享年31歳。
この小説で大活躍するのが、家老の相馬兼続(かねつぐ)。家老で有名といえば、思い出し
たのが、こちらの地方では、大村藩の大村彦右衛門。次は、この大村彦右衛門の話で
も・・・・・
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