キリシタン宣教師の暗号★「キリシタン時代対外関係の研究」より~高瀬弘一郎著
キリスト教といえども、人に知られたくない、情報はあるようで・・・
高瀬弘一郎著「キリシタン時代対外関係の研究」を読んでいると、「第十四章 キリシタン宣
教師が用いた暗号」というのが載っていて、あれ?宣教師も暗号があったのか、と思って読
むと確かにあったようで・・・・ただし
「カトリック弾圧を行ったイングランドにおいては、とくにこれが多様されたという。イグナティ
ウス以来、さまざまな暗号が使用されたが、日本関係の文書では、それ程多様な暗号が頻
繁に使用されたわけでもないようである。」とあります。
文書A、文書Bと二つの文書が載せてありましたが、両方とも、イエズス会日本管区長マテ
ウス・デ・コーロスの総長宛ですが、長文なので、ほんの少しばかり・・・・1620年10月10
日付け加津佐発の書翰。
「巡教師フランシスコ・ヴィエイラは、昨年シナに戻る前に、顧問達の意見にもとづいて
4554545154594443554349555343をイエズス会から追放する事に決めた。
4252614254575749に対し、[人間的]弱さにまけたからである。彼自身それを否定し
なかった。・・・・・・・・」
というような書き方で、一番上が解読用の表になります。今の暗号から見れば、単純なので
すが。
数字が2文字一組で、最初から「45」「54」「54」51」「54」「59」「44」「43」という事になり
ますが、下の表最初の「45」は最初の行「p」、「54」「54」は二行目と三行目で「a」「d」、
「51」は4行目に下がって「r」、「54」は5行目で「e」、「59」は6行目で「t」、「44」は最初の
行に戻って「o」、次から同じように、「43」は2行目の「m」というような事になります。
最初の暗号は、「日本人パードレ・トメ(トマス・ツジのことだそうです)」。次が「女たちに」と
なるそうです。
内容的には意訳してありますが、「巡察師フランシスコ・ヴィエイラは昨年、『日本人パード
レ・トメ』を会から追放した。理由は『女たち』との醜聞である。」と言うことだそうです。
なお、「日本人パードレ・トメ」は「1613年2月以前に叙品(カトリックで、司教、司祭、助祭
等の聖職位に就けられる事)、1614年11月にマカオに追放、1618年帰国、そして翌年
にA文書に見えるとおりイエズス会を追放された。しかし司祭職にはとまり、司祭としての
活動を続けたようである。1627年長崎で捕縛され、イエズス会への復帰を許され、同9月
殉教した。」そうです。
(「キリシタン時代対外関係の研究」~高瀬弘一郎著・吉川弘文館発行より)
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