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2014年1月30日 (木)

「七草」と「七種(ななくさ)」について

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以前、七草粥について書いたところ、以下のコメントをいただきました。コメントで返答しよ

うと思ったのですが、調べると面白く、長くなるのでブログにしました。


>高校生の時に古典の授業で習った知識では七草とは秋の七草のことで

>「人日の節句」である1月7日に食べるのは「七種(ななくさ)粥」ですから春の七草じゃ

>なく「春の七種」だったのですがいつの間にやら・・・しょうがないでしょうね^^;


古典はコテンコテンに成績が悪く、ただ、俳句をしばらくやっていたので、「七種」の表現は

知っていたのですが、ひょっと「種」を「くさ」と読むことはあるのかな?という疑問が。


調べると、普通の辞書には載っていませんが、「大漢語林」に、「種」の読み方に、「古訓 

名 として、クサ」という読み方が載っており、「古訓」とは、平安時代におこなわれた漢字

の訓を『和名類聚抄』(箋注・センチュウ本と元和本により訓を採った・・・・・・)及び「類聚

名義抄(ルイジュウミョウギショウ)とあり、又他の辞典には、クサグサ(種種)多い義[日本

釈名・元梯]ともあり、とにかく、「くさ」とも読めることが分かります。まあ、ここのところ詳し

くは、私にもよく分かりませんが・・・・


さて、秋の七草のはじまりは、「万葉集 第八巻」山上憶良の


山上臣憶良詠秋花二首

秋野尓 咲有花乎 指折 可伎數者 七種花

(秋の野に咲きたる花を指(および)折りかき数ふれば七種の花)

芽之花 乎花葛花 瞿麥之花 姫部志 又藤袴 朝皃之花

(萩の尾尾花花葛花瞿麦の花女郎花また藤袴朝貌の花)


ということで、古くから、七草と言えば「秋の七草」になったのでしょうが、少し不思議に思う

のが、これ、全部、「草」ではなく「花」ですね。題にも「秋花二首」となっているのですが、

「秋の七草」とは・・・・時代的には「草」も「花」も同じように使っていたのかな?最も、花に葉

っぱは付いていますが・・・


さて、「七草」を「広辞苑」でひくと「②春の七種の菜・・・・③秋の七種の草花・・・」と書いて

あり、「七草」を秋とは限定してありません。


俳句歳時記でも、七草(七種)は、ほとんど「七種」で載っており、新年の季語になってお

りますが、山本謙吉著氏の歳時記にも、秋の部で「七草」の記載はなく、「秋の七草」にな

っており、「七草」については、「(新年の)七草」、「春の七草」、「秋の七草」の3種類に分

けてあります。


氏の歳時記の目次は、(新年の部)で「七草」は「七種」となっていますが、例文として、

七種やあまれどたらぬものあり~千代女」「七種や化粧(けはい)ひしかけて切刻み~

野坡」「七草夜着から貌を出しながら~一茶」「七草に不二の山彦うたふなり~大江丸」

七種や跡にうかるゝ朝がらす」「七草やあらしの底の人~麦水」「七草や兄弟の子の起

きそろひ~太祇」「七草の屑にえらるるははこかな~梅室」等、「七草」と「七種」が混在し

て使われています。「七種」「七草」、混同してして使われたのは現代ではなく、昔からだっ

たことが分かります。


ただ、注意すべきは原典がどう書いてあるか、「御伽草子」のなかに「七草草子」があり、

ほとんどの本に「七草草子」と書いてありますが、国立国会図書館、デジタルコレクション

の原典(写し?)には「なゝくさ草子」と書いてあり、この辺は注意すべきなのですが、山本

健吉氏の歳時記には、「七草」「七種」「七くさ」と分けて書いてあり、正確に書いてあるもの

と思われます。


1837年(江戸後期)に風俗等が書かれた、近代風俗史の研究の基本となる、「守貞謾

稿」には、「正月七日 今日三都(京、大阪、江戸?)民ニ七種ノ粥ヲ食ス 七草ノ歌ニ曰 

芹 ナツナ ゴゲウ ハコベラ ホトケノザ スゞナ スゞシロ是ゾ七種 以上ヲ七草ト云ヒ」

というように、「七種」「七草」が混在して書いてあります。文の統一から云えば、「七種ノ

歌」「以上ヲ七種」と云うべきなのですが・・・・・?


室町時代の国語辞書である、「運歩色葉集」。言葉をいろは順に並べてありますが、写本

ですが、この中で七草について、「七草 芹薺五行田平子仏座須々子蕙也 正月七日用

之」と「七草」と書いてあります。


さて、「人日」については、中国の古俗で、元旦から、鶏、狗、羊等と順で占い、七日目に

「人」を占い、この日には刑を行わなく、七種菜羹(しちしゅさいのかん)を食し、一年の無

病息災を祈っていたそうです。多分、「人」を占う日ですから、「人日」でしょう。


ただ、各日に、該当する動物を殺さなかったという説もありますが、人日には刑をおこなわ

なかったという記述が複数あり、この方が本当のような感じがするのですが・・・・


日本に於いても、五節供が江戸時代に定められ、これには「人日」「上巳」「端午」「七夕」

「重陽」とあります。


「人日」については「元寛日記」に、徳川秀忠の時代、徳川将軍家において七草のご祝儀

があったそうですが、それに伴い、七草粥の来歴を、公家、儒者、陰陽医師等に尋ねたと

ころ、その説はまちまちであったそうです。


「年中行事辞典~西角井正慶著」によれば、古来、日本にも七種粥が存在したそうです

が、材料が現在とは違い、米、栗、黍、稗子、葟子(みの)、胡麻、小豆子だったそうです

(若干の異説有り)。


これ見ると、穀物の種ですね。ひょっとしたら、「七種」は「七種類の種(たね)」の意味では

ないのかな?


なお、同書によれば、「徳川幕府が五節供の第一に人日を選んだのは、もちろん名称を

とっただけで、行事としては七草の粥が七種菜羹と似ているというのみである。古来、七草

粥は七種菜羹を学んだ輸入風俗であるという説が行われているが、古くから我が国にも

七種粥というものは存在した」とあります。


なお、冷泉家25代当主冷泉為人氏の「五節供の楽しみ」の中にも、「日本にあっても古

来、正月の初めての子の日に若菜を摘む春の野遊びの習俗すなわち『子の日の遊び(ね

のひのあそび)』があったり、『七種粥』も古くから存在していた。」とあり、七種粥の中身も

前述したものです。


昭和天皇陛下の侍従であった、入江相政氏編の「宮中歳時記」には、標題には「七草(七

種)」となっておりますが、宮中の行事として、後醍醐天皇から「七種の若菜」が進ぜられた

とは書いてありますが、他は「七草粥」になっています。また、「この頃の若菜の羹、つまり

汁であったが、室町時代から粥に変わっていった。」との記述があります。


要するに、日本古来の、七草粥、若菜摘みと、中国の「人日」の風習、七種菜羹が習合し

て、「人日の節句」「七種粥」に結びついたものではないかと思われます。

日本はいろいろな国の文化を吸収して、発展した国です。、「七種」「七草」「人日」の混在

もその一つだと思います。


今回は、いい勉強をしました。あの頃、これくらい勉強していればと、後悔しております。

まあ、自分で言うのもなんですが、これ書きながら、分かったような、分からないような感じ

が、無きにしもあらずなのですが、これ以上は、各自、お勉強を・・・・・・・・・・・中途半端で 

 (*_ _) ゴメンナサイ 。


まあ、七草粥に関しては、我々平民は「いいじゃないの、美味しければ~」なのですが・lovely


参考・引用資料:「時代別国語大辞典」「秋の七草~有岡利幸著」「春の七草~同」「日本

歳時記~講談社版」「七草の歳時記~釜江正巳著」「宮中歳時記~入江相政編」「五節供

の楽しみ~冷泉為人」「国会国会図書館デジタルコレクション」「基本季語500選~山本

健吉著」「日本民俗辞典」「年中行事辞典~西角井正慶著」その他、国語辞典、古語辞

典、漢和辞典より。




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コメント

私のコメントをきっかけに何と大掛かりな記事に(゜o゜) 下手なコメントもできませんね^^;

七種以外にも十二種などもあるので種(くさ)とはやはり「種類」を表す言葉みたいですが
名字で「さえぐさ」と読むことがあるのは何故なんでしょうね

後で考えると、「種(くさ)」には、「種種(しゅじゅ)」という、「種類」がたくさんある事を指すような用法もあるようで、「七種」=「七種類の種(草)」なのかなと、考えております。

万葉集では、「苦しむ」という言葉のクルシミを、「九流之美」「苦三」「苦彌」とも書いたり、珍名さんでは「小鳥遊」を「たかなし」(鷹がいないので小鳥が遊ぶことができる)と言うのもあり、本格的に勉強しないと
分かりませんね。なにせ、こちらは古典は、赤点ばかりだったもので・・・・

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