読書について~小林秀雄著
先日、本屋さんに行くと、小林秀雄の本が平積みに置いてありました。小林秀雄没後30
年の記念に出版された本です。
小林秀雄の本が、平積みになるのは何年ぶりか。思えば、我々の年代には、文芸批評の
神様みたいな存在でした。
あの頃は、吉本隆明、吉田健一、正宗白鳥、福田恆存、中村光夫、江藤淳、奥村建男、
伊藤整等々、きら星の如く評論家がいたのですが、その中でも、小林秀雄は独特の光を
放っていたものでした。
つい、手が出て買ってしまいました。短いものばかりですが、昔読んだのとは、少し違った
読み方になった自分に気づきました。
文章は平易ながら、内容は難解なものでしたが、読み返すと、以外とユーモア的な所もあ
り、
「国語という大河」
娘さんが、国語の試験問題を見せ、何だかちっとも分からない文章だという。読んでみる
と、悪文である。「こんなもの、意味がどうもこうもあるもんか、わかりませんと書いておけ
ばいいのだ、と答えたら、娘は笑い出した。だって、この問題は、お父さんの本からとった
んだと先生がおっしゃった、といった」
別の地域の学校入学問題で、小林秀雄の文章がでたが、意味あいまいで、問題になって
いる。作者の正確な答案を記載するので、お答え願いたいとのこと。
昔、書いた文章を、電話で長々と聞かされ、だんだん虫のいどころが悪くなっていく。小林
秀雄曰く、「正確な意味はね」「ハイ、ハイ」「読んで字のごとしだ」ガチャリ。
そういえば、以前書きましたが、谷川俊太郎の詩「いるか」。「いるかいるか いないかいる
かいないいないいるか・・・・・」の事で、学校の試験に、「いるか」が何匹いるか、という問題
が出て、谷川俊太郎さんの所に、問い合わせがあり、谷川俊太郎さんも結局分からなかっ
たそうです。学校のテストは、もっと分かりやすいものを出すべきですね。
「文章について」
「一体文章について書くと言うことが、考えてみると私には大変な重荷です。」から始まる文
章ですが、最後は、「諸君も巧い文章を書こうと努力されておると存じます。私も大変努力
をしております。併しお互いい努力しても巧くなるとは限らぬ事だけはたしかです。」
ブログを書かれている方は、巧い文章を書こうと、努力されいると思いますが、以上の通り
です。安心して、巧い文章を書こうと努力されないことです。
とは言っても、小林秀雄と、我々とは、レベルが違いますから、文面通りには受け取らない
事ですね・・・・・
久しぶりに、諫早の森山図書館横の散歩コースを歩いていたら、パンジーと、サザンカの
落ちた花びらのコントラストが綺麗でした。
小林秀雄。知る人は段々少なくなっているみたいですが、ご一読を・・・・・・
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>あの頃は、吉本隆明、吉田健一、正宗白鳥、福田恆存、中村光夫、江藤淳、奥村建男、伊藤整等々、きら星の如く評論家がいたのですが
私は唐木順三さんが好きでした^^;
「詩と死」はいまだに本棚にありますが久しく手にとっていないですね
投稿: 心づくし | 2014年2月 1日 (土) 11時07分
あの頃のような、カリスマ的評論家はいなくなりました。
昭和は遠くなりにけり、ですか。 (ρ_;)泣く。
投稿: sugikan | 2014年2月 1日 (土) 12時51分