センゴク一統記 第六巻~宮下英樹著
ボチボチかなと思って、本屋さんのコミックコーナーを眺めると、でていました、「センゴク
一統記 第六巻」
秀吉が「中国大返し」をおこなった後の、秀吉と光秀の「山崎の戦い」。「天王山の戦い」と
呼ばれる合戦です。第六巻は、まだ、合戦の前哨戦の部分で、お互いに戦略を練るとこ
ろ。秀吉と光秀の考えるところの違いが描かれています。
「山崎の戦い」は天正10年6月13日。「十三日 合戦之上勝負決可(けっすきべき)之旨
云やりしかハ所望之幸尤(もっとも)にこそとの返事有りぬ」『太閤記』
さて、本の表紙の帯を見ると、「黒田官兵衛孝髙」の文字が躍っています。NHKの大河ドラ
マで、放送するので書いたのでしょうが、この巻では官兵衛はあまり出てきません。
黒田官兵衛については、織田信長、徳川家康、豊臣秀吉、小西行長、竹中半兵衛、伊達
政宗等々と比べれば、あまり有名ではありませんが、竹中半兵衛と共に、秀吉が天下統
一を果たした軍師として重要な人物です。
(「晋遊社ムック 歴史探訪シリーズ 黒田官兵衛」より)
小説家には興味を引くらしく、多くの本が出ているのですが・・・・私の好きな、坂口安吾「二
流の人」が入っていませんが・・・・
黒田官兵衛は、信長が本能寺で討たれた、という知らせを聞いたとき、秀吉に「これは、
天下をとるチャンス」と言ったとか、司馬遼太郎の「播磨灘物語」には、「・・・めでたき事、
出来ものよ。と、官兵衛が秀吉にいったということが人の口から口へと伝えられたが、たし
かに官兵衛としては、そうも受けとられることを秀吉にいった。信長の死を秀吉のために
めでたいといったのは、事態を露骨に表現しただけのことであり、秀吉自身、内心そう思っ
ていたに相違ないことは・・・・」と書いてあり、同様のことは、他の本にも書いてあるところ
です。ただし、出典はよく分かりません。
これも、良く書いてあることですが、秀吉は黒田官兵衛を警戒していた節も有り、側近と話
をしているとき、「わしが死んだら、天下を取るものは誰か」と聞いたところ、徳川、前田利
家、上杉と諸々意見が出たところ、秀吉は「黒田官兵衛だろう」と言ったということで、これ
を聞いた官兵衛は、隠居を願い出たという説もあるそうです。
なお、黒田官兵衛は、まだ野心があったらしく、関ヶ原の戦いが長引くとみて、その間に九
州・中国をを平定し、京へ攻めのぼる気持ちを持っていて、九州を平定していきますが、
関ヶ原の戦いが、たった一日で終結。夢破れます。
有名な話ですが、息子の黒田長政の調略により、徳川が勝利しますが、父の官兵衛に報
告のおり、「家康は長政の手を取り、この勝ちは甲斐殿(長政)のおかげでござると、とい
って、その手を三度まで押し頂いた。そのことを、如水がほめてくれるかと思い、詳しく話を
した。・・・・・・・やがて如水は、家康が執ったというそちの手は、左であったか、右手であっ
たか、と反問した。
『右手でございました。』
『すると、そちの左手は何をしていたのか』」(司馬遼太郎「播磨灘物語)
要するに、そのとき家康を、なぜ刺し殺さなかったかということです。ただし、坂口安吾「二
流の人」によれば、その後、家康は如水を大阪へ迎え、「膝元近く寄せて九州の動きを逐
一きく・・・」ともあり、小説のことですから、資料の問題、解釈の問題等あり、まあ、ここが
時代の出来事を推理していく面白さでしょう。
来年放送の「軍師 黒田官兵衛」の放送台本をもとに、構成した本が出ていたので、買っ
て来ました。第一巻ですから、続編はでるでしょうが、呼んでみて、面白かったらご紹介を
します。
「センゴク一統記」とは、少し離れた話になりましたが・・・いつものように・・ヾ(_ _*)ハンセイ・・・
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