男のおばあさん~永六輔著
医者に行って良く、「加齢化」ですね、と言われますが、あれは、ウゾですね。5歳の子ども
が、一つ歳を加えて6歳になるのも「加齢」です。歳を取ると、はっきりと「老化ですね。」と
言われた方がスッキリするんですが・・・・
永六輔さんを知ったのは、小学校の時、テレビ創生期の、伝説的なNHKのバレエティ番
組「夢で逢いましょう」。
黒柳徹子さん、変な外人のE.Hエリックさん、三木のり平さん、田辺康夫さん、テレビに初
めて出演した渥美清さん、エンディングソング、「夢で逢いましょう」を歌った坂本スミ子さ
ん。今月の歌で大ヒット、「上を向いて歩こう」を歌った坂本九さん。「こんにちは赤ちゃん」
の梓みちよさん、音楽は、中村八大さん、ジャズプレーヤーの松本秀彦さんも。その他、
多士済々。歌あり、コントあり、踊りありでした。
特に、司会の中嶋弘子さん。首を傾けて、「こんばんは」の挨拶は、今も記憶に残ってま
す。本職はファッションデザイナー。店が丸の内にあるというので、上京したとき覗いて見
ましたが、本人は不在でした。最後まで、素人ぽっさが抜けませんでした。
そして、作、構成が永六輔さん。ほっそりした、少し、いなせなお兄さんの感じで、舌っ足ら
ずで話していましたが・・・・あのお兄さんが80歳になったとは!考えると、私も一緒に歳取
っていたんですが・・・・
永さんの、ラジオ番組、「永六輔の誰かとどこかで」、50年近く続いていますが、私は仕事
中の番組だったので、ずっと聞けませんでしたが、2年ほど前、聞いていたら、相手役、遠
藤康子さんの後、なにかモゴモゴと、全然分からない言葉で喋る老人の言葉が、一瞬後、
永さんだと分かりましたが。
少し、言葉が不自由だとは聞いていたのですが、これほどひどいとは、最近は段々良くな
ってきて、話していることは、分かるようになりましたが。
と思っていたら、本屋さんに、「男のおばあさん」が並んでいたので、買って来て読んだら、
昨日は、涙がでるやら、おかしいやらで、一気に読んでしまいました。
永六輔さん、この数年、大変みたいだったようで、パーキンソン病、それに伴い、転倒し
て、数度に及ぶ骨折、乗っていたタクシーの交通事故。
でも、はやり永六輔流ですね。パーキンソン病になったとき
「『付き合う』っていうことが大事なんです。
闘病じゃありません。
闘うんじゃなくて、お付き合いをする。
お付き合いをしていると、冗談もいうようになるし、明るくもなるし・・・・・」
江國佳織さんの、お父さん演芸評論家の、江國滋さん。ガンで亡くなりましたが、
おい癌め飲みかはさうぜ秋の酒
という、俳句がありましたが・・・・・
「永六輔の誰かとどこかでは」、入院中も、病室で放送をしたそうです。永さんが、TVを離
れ、ラジオにこだわったのは、いろいろ理由があり、書ききれませんが、小沢昭一さんに
次のように言われたそうです。
「小沢さんに最後に言われたのは、『ラジオを止めるな』でした。
『言っていることがわからなくても、声が出なくても、あなたがマイクの前にいるってこ
とが伝わればいいんです。
いいですねラジオをやめないで』
初めて、小沢さんの前で泣きました」
その、小沢さんの方が先に亡くなり、「小沢昭一的こころ」が聞けなくなりました。恐妻家
で、中年の男の悲哀を感じる、ちょっと助平な、「宮坂おとうさん」。懐かしいですね。
さて、人間必ず歳は取るもので、この本、60歳程度になって、老いを感じ始めたら、絶体
に読む本です。病気との付き合い、老いとの付き合いの準備をしておくために。
なお、パーキンソン病については、詳しく書いてありますので、ご心配の方は是非。
カミサンを見たら、旅行ガイド案内を。また、私を置いて、ポチどこかへ行くつもりか?
« 新築開店・移転・新発売★連三・イルマーレ・たまご屋さん・宅島海産~諫早市・雲仙市 | トップページ | たまには、キャラメル。 »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 島原半島に関する三冊の本(2024.05.05)
- 気まぐれ資料館~次は「草双紙」の世界(2023.01.15)
- ザッとした読書感想文なのですが(^_^)(10月~11月中旬読了)(2022.11.13)
- 落語「紀州」の原典は松浦静山「甲子夜話」?(2023.09.19)
- 「積ん読」の効用(2022.08.19)
« 新築開店・移転・新発売★連三・イルマーレ・たまご屋さん・宅島海産~諫早市・雲仙市 | トップページ | たまには、キャラメル。 »
コメント