「永六輔のお話し供養」~永六輔著
去る者は日日に疎し、という言葉があります。文選(もんぜん)の雑詩の中、作者不明の十
九首の中の一首からきているそうです。「去る者は日に以て疎く/来たる者は日に以て親
し・・・」
親しい人でも、遠く離れると次第に縁が薄くなったり、死んだ者は、月日がたつにつれて、
忘れられていく事です。
我々凡人はさることながら、有名人も例に漏れないでしょう。織田作之助、坂口安吾、三
島由紀夫、川端康成、正宗白鳥、福田恆存、小林秀雄等々、あれだけ話題を呼び、本屋
の本棚に並んでいたのに、今は、ほとんど見うけられなくなりました。文庫本もめっきり減り
ました。
永六輔さん、この本の最初にこう書いています。
「人の死は一度だけではありません。
最初の死は、医学的に死亡診断書を書かれたとき。
でも、死者を覚えている人がいる限り、その人の心の中で生き続けている。
最後の死は、死者を覚えている人が誰もいなくなったとき。
そう僕は思っています。・・・・・でも、人は歳月の中で、亡くなった人のことを忘れがちです。
だから、ときどき誰かと故人の思い出話をしたり、街角で出会ったりしましょう。
それも供養のひとつだという気がします。」
この本で、供養される人。
渥美清さん
私が、初めて見たのが、伝説的なバレエティショー、NHK「夢で逢いましょう」。こんな顔し
た人がいるのかと思いましたが、「寅さん」で、国民的俳優になりました。
淀川長治さん
「日曜映画劇場」の司会をし、番組最後の挨拶、「さよなら、さよなら、さよなら。」で、有名で
した。
石井好子さん
言わずと知れた、シャンソンの大御所。
坂本九さん
御巣鷹の飛行機事故で亡くなりました。「夢で逢いましょう」の今月の歌で、「上を向いて歩
こう」を唄いましたが、一発で覚えた歌でした。今でも、少し上を向いて、唄っている姿は覚
えています。
中村八大さんといずみたくさん
「夢で逢いましょう」で、「八+六=九」。「中村八大+永六輔=坂本九」のコンビで、ヒット曲
をたくさん出しました。いずみたくさんの、「見上げてごらん夜の星を」、星を眺めているとき
何となく口ずさんでしまいます。
岸田今日子さん
強烈な俳優でした。「砂の女」は凄かった。
立川談志さん
亡くなってまだ間もないので、覚えてる方は、たくさんおられるでしょう。立川流の落語があ
る限り、忘れられない人です。
永六輔さんは、この本に書かれた人々の、知られざる一面も書いています。高齢者向けに
も読みやすいように、大型の文字を使っています。唐仁原教久さんの絵も、素晴らしいです
よ。ご一読を。
さて、この本の最後は、「あなたのお話供養」として、白紙のページになっています。皆さん
は、どなたの方をお書きになるのか・・・・
ところで、永六輔さんパーキンソン症候群だそうですが、一時は、何を話しているのか分
からなかったのですが、先日、ラジオ番組、「誰かとどこかで」を聞いたら、随分復調したみ
たいで、でも、あの生きの良いお兄さんが、80歳になったなんて・・・・
白紙のページ、私のことはまだ書かないでよ。ポチとお願い。
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