「なぬかもりの石」と徳利淵~長崎県雲仙市瑞穂町
国道58号線(愛野~島原に行く開拓道路・今のグリーンロードの一段上の山側を走ってい
ます。)の道の側、独立行政法人種苗管理センター雲仙農場の横の空き地に石がありま
す。
どこにでもあるような石ですが、この石には話があります。
この事は、瑞穂町史談会で出している、「みずほ史談」の、「生活文化部長 前田晴夫氏」
が「『なぬかもり』の石」という事で書かれております。
昔、藩と藩の境には、藩境の藩境石、藩境石塚などがありますが、その他にも、川、あるい
は、大きな石を目印に境界をしていたそうです。
瑞穂町には、「天草石」と呼ばれる大きな石があり、吾妻町と瑞穂町の境界であったそうで
すが、林道拡張に伴い、一部が割り取られたそうです。
そして、現存しているのが、この「なぬかもりの石」だそうです。以前は、ここらあたりは、野
芝に覆われ、「にしばる」と呼ばれ、遠足の場所であったそうです。大小2個の石があり、
「めおと岩」と呼ばれ、大きい方が上の写真、「なぬかもりの石」と呼ばれ、小さい方は、育
苗センターの防風林の中にあります。フェンスで入れないので外の方から
分かりにくいと思いますが、四角で囲んだ石です。
この、前田晴男氏が書かれたものによると、「なぬかもりの石」には、次のような話があり
ます。
昔、何故か、赤子がこの岩の傍に捨てられていたそうです。赤子は泣くじゃくっていました
が、「不憫に思われた神様が人間に姿を変えて現れ、石の角から顔を見せて泣く子をあや
し、近づいてくると反対側の角に移動し、近づいたら移動しの繰り返しで七日間おもりをさ
れたが与える乳もなく、食べさせる物もなく、ついに赤子は動くことも出来なくなってしまい
ました。」。「なぬかもり」は、「七日守り」の事でしょう。
この話を読んで思い出したのが、以前書いた、雲仙の「七日回りの石」。昔の雲仙は女人
禁制。子どもを僧房に預けたが、どうしても会いたく、赤ちゃんを連れて、「七日回りの石」
まできて、休んでいると、いつの間にか、赤ちゃんがいなくなり、泣き声が岩の反対側から
聞こえてくる。そちらに行くと、赤ちゃんの姿はなく、泣き声が、岩の反対側から聞こえてく
る。また、そちらに行くとまた姿はなく、反対側から泣き声が聞こえてくる。母親は狂ったよ
うに、岩の回りを7日7晩回り、息絶えてしまった。
「なぬかもりの石」「なぬかまわりの石」。題も似ているなら、中身も似ている。雲仙の話が
こちらに伝わったという事も考えられますが、「七日」と「回る」。何となくひっかかりますね。
「初七日」、「七日参り」、「七五三」、「七七・四九日」など「七日」というのが多いですね。
「回る」も「輪廻転生」、「胎内巡り」、「巡礼」など、「回る」と同じようなものであり、この「七
日」、「回る」、何か、仏話の話に出てきませんかね。二日ほど捜しているのですが・・・
さて、この石の存在も、話も忘れられていくのでしょうが、せめてもは、名称を書いた標識で
ほしいものです。
ここから、しばらく走ったところに徳利淵というのがあります。
流れが徳利に似ているところ、濡れた部分が徳利に似ているので、徳利淵と名付けられた
のでしょう。平成23年に地域の人が、道路からでも見えるように整備したそうです。
この、上の方には水神様が、祀られています。年代は分かりませんでしたが、鳥がいたず
らしないようにか網が張ってありました。
何となくホットするようなお顔でした。
(参考・引用:「みずほ史談 第8号~「なぬかもりの石」 前田晴男著」より)
さて、今日もカミサンは、何とか会で、昼のお食事会。料理代を聞いたら、なんと、5,000
円。私は500円のコンビニ弁当。ポチどころか、随分と羨ましかった。
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私の親父です。意外なところで名前を見つけてしまいました。こういった活動をしていたとは全く知らず、勉強になりました。
投稿: N.M | 2017年1月29日 (日) 18時37分
コメントありがとうございました。
「みずほ史談」意外と面白いですよ。いま20号が出ましたが、是非お読みください。
投稿: sgikan | 2017年1月29日 (日) 21時17分