クラヴィコード~上地優步
このマンガ、「天正遺欧少年使節」を描いたもので、まだ、第1巻目です。
長崎新聞に、作者が少年使節のゆかりの地、雲仙市、南島原市、大村市を訪れたことが
載せてあり、本屋さんに置いてあったので、買ってきました。「comicスピカ」に連載中で、
第5話まで収録されています。第1巻は主に、「セミナリョ」の生活を描いています。
ところで、新聞に「上地優步(24)」と書いてありますが、犯罪者ならともかく、女性の年齢
を書いて良いんですかね。いつも、疑問に思っているところです。女性に年齢を聞くのさえ
失礼にあたるのに、公器たる新聞に書くのは失礼ではないのでは?私の知っているボラ
ンティアで活動している女性が、新聞に載ったとき、「年齢書かれちゃった!」と怒っていま
したが・・・・
閑話休題、天正少年遺欧使節といえば、伊東マンショ(大友宗麟の名代、後年、司祭に叙
階されるも長崎で死去。)、千々石ミゲル(後に棄教)、中浦ジュリアン(長崎で穴づりによっ
て殉教)、原マルティノ(後、司祭に叙階されるも、追放先のマカオで死去)。
他に、コンスタンチノ・ドラード、アグスチーノと呼ばれる二人の日本人少年。この少年につ
いては、この使節団を計画したヴァリアーノが、日本人のキリスト教教育のため、書籍を
日本で印刷することが必要だということで、派遣されたもの。なお、日本で最初の印刷がな
されたのが、南島原市加津佐町。この、最初の印刷に、この2名も従事しています。(日本
最初の金属活字本。日本初の西洋文学翻訳書。宗教上、日本初の聖人伝。(参考・「加
津佐郷土誌 加津佐史話」 林田第壹號著)
さて、「千々石ミゲル」が主人公とは、この作者、難しい人物に取り組みましたね。
「千々石ミゲル」、「天正遺欧使節」に関する本、まだ、あるのですが、手元にあるのが、こ
の4冊。「マルガリータ」は、松本清張賞を取った作品です。
実は、私の家からすぐそばに、釜蓋城跡があり、佐賀の龍造寺氏に倒された「千々石大
和守直員」が城主の所であり、その子が「千々石ミゲル」、と言うことで、一度は真面目に
勉強しようと集めた本で、まだ全部は読んでいませんが・・・
他に、高瀬弘一郎氏の、キリシタン時代に関する本もあり、読んでいくと、イエズス会内部
の問題、他の会派との問題、ポルトガル、スペイン、オランダとの関係など書いてあって
、興味深い問題があります。
千々石ミゲルの棄教に関しては、諸説あり、難しい問題を抱えていますが、時代の流れの
中で考える必要があると思うのですが・・・
さて、松田毅一氏はこの4名に関し、使節が国を出たのが十三歳のころ、「しかもかれら
が生まれ育ったのは、日本の僻地ともいうべき九州の片田舎であった。伊東マンショの郷
里である都於郡(とのこり・宮崎県)、千々石ミゲルの出身地は千々石(ちぢわ・長崎県)
といった地名は、同郷の方でなければ耳にしたこともないであろう。原マルチの出身地波
佐見(長崎県)はともかく、中浦ジュリアンの郷里中浦に至っては同じ長崎県人でも知る人
は稀で、西彼杵半島に西岸にあるその地は、いかにも寒村というにふさわしい。」
「そうしたことを考えれば・・・・雲煙万里の彼方なるヨーロッパ、しかもルネッサンスの華咲
くフィレンツやローマにまでたどり着いたということは、まさに奇異なことでもあり、破天荒の
壮挙と評する外はない。」と書いています。(松田毅一著 新装版天正遺欧使節・1991年
発行)
上地優步さん、「日本のキリシタンの歴史には暗いイメージがあったが、南蛮文化が根付
いていく華やかなものと知った。漫画を通し歴史い興味を持ってほしい。」(長崎新聞)と語
っていますが、この難しい問題、特に、千々石ミゲルをどのように描いていくか、楽しみで
すね。でも、伊東マンショは美少女みたいな描きかたで、何となくですね。表紙の右がマ
ンショです。
さて、ポチポチとウォーキングの時間です。ポチポチと歩いてきます。
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