チン釣り石~雲仙市千々石町
千々石川の中に、カッパが座った大きな石があります。場所は千々石の温泉神社のすぐ
横です。小浜町雲仙の「温泉神社」と関係があり、由緒ある神社です。
この石は「チン釣り石」といいます。「チン」といっても「チン○コ」とは関係ありません。標準
語で言えば「チヌ(黒鯛)釣り石」です。
チヌというと海の魚ですから、川で釣れるはずはないのですが、信じられないことですが、
昔はここらあたりまで海岸であったそうです。
郷土史家の方と話をしていたら、本来はこの石は「チン釣り石」ではなく、もっと大きな石が
この橋の所にあったそうです。この橋は昔は無かったそうですが、川の拡幅と橋を架けた
ため、その石は撤去してしまったそうです。その工事を請け負った会社の社長が、後年こ
の石の上にカッパの像と説明碑を設置したそうです。
昔は橋がなかったので、飛び石で川を渡っていたそうです。この川の上流に何カ所か見受
けられます。
謂われについては、昔、四面宮(現温泉神社)が千々石に鎮座するにあたり、お祝いの魚
をこの辺で釣っていたところ、魚が釣れず、その時、一組の老夫婦が、「鯛は釣れたなー」
と言いながら、大石の上に座って、大きなチヌを次々と釣り上げ、「お四面様へのお供え
と、お祝いの酒肴に」と言うことで立ち去ったのですが、その後ろ姿がカッパに似ていたそ
うです。と言うことででカッパがここに座っています。
その他、2,3のバリエーションがあるのですが、説明の碑があるのでそれを基に書いてみ
ました。この、カッパさんと説明碑は平成16年、比較的新しく設置されたものです。
先ほどの郷土史家の方は、小学校の時遠足に来たときに、少し違ったバリエーションです
が、学校の先生から聞かされたそうです。
先生、「あん石しゃチン釣り石というて・・・」
生徒、「先生、嘘ばっか、こげんとこ(こんなところ)で海の魚が釣れるわきゃ無かたい。」
先生「うんにゃ(いやいや)、昔しゃ、ここんとこまで海岸で・・・・」
ということで話を聞いたそうです。もちろん先生は地元の方です。勝海舟、坂本龍馬が通っ
たのではないかと言う、千々石断層の中腹を走る「早駆け街道」の話も聞いたそうです。
長崎県は今や広域人事で、通勤の先生ばかり。学校の指導も忙しく、勤務校の地域のこと
も知らない方ばかりのようです。学校で副読本も作っているのですが、娘が使った小学校
3,4年生の副読本を読んでも、どうも、知識に偏った感じ・・・
本当は、民話、言い伝えなどの中に、柳田國男「遠野物語」のように地域の文化があると
思うのですが。地域の人が頼りですが、地域の人も段々忘れていく話ばかりで、この石の
上のカッパさんが無かったら、私もこの石のことはまったく知らなかったでしょう。
とにかく、若い子は「温泉神社」と言うと、「昔は温泉が湧いとったとね。」という時代。知っ
ていることは何とか伝えて行きましょう。
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