玉垣額之助★江戸時代二人の大関・その1~雲仙市愛野町・小浜町出身
(愛野町郷土誌から)
小浜町に玉垣額之助という強い力士がいたことは、知っていたのですが、相撲にはあまり
興味がなく、見逃していたのですが、小浜の郷土史家の方から、小浜の玉垣は、愛野の
五代目玉垣の弟子であり、愛野の方をちょっと調べてくれないかと。
郷土史などを多少調べると、両方とも大関まで出世をした力士。当時としては、横綱は免
許制。吉田司家が行司の総元締めとして、免許を与えられたものが正式な横綱として認
められたそうですが、あの雷電為右エ門も免許は受けなくて大関で終わっています。大関
までいったということは、今の横綱と同じくらいの実力があったのでしょう。この雲仙市に2
人も続けて大関をだしたと言うことは、今にしてみれば大変な事なのですが・・・
さて、調べてくれと渡されたのは、長崎新聞が特集をしたらしくその写し。一枚は墓の写
真、もう一枚は生家跡の写真。記事の所が切れていて、ヒントは、愛野町中野の松ノ木
原墓地。生家跡は愛野町中野ということ。墓地はまあ大体検討はつきましたが、
国道の脇、ジャガ畑のなかにある墓地ですが、折角ならマリリン・モンローの墓参りとか、
クレオパトラの墓探しとかが良いな思いながら、さあどうするか?今のように区画整理され
た墓地ではなく、適当に立てていった墓。見て回っているとちょうど墓参りの人が。玉垣の
話を持ち出したのですが、「話は聞いたことはあるばってん・・・」という事。ただ、墓の所有
者がT家だと言うことが分かっていたので、そのことを言うと、「ああTさんのとこの墓なら、
ここと、あそこと、そこと」と言うことで、あっけなく見つかりました。
正面に父母の「義諦・妙境」の文字。この、お母さんも大変な力持ちであったそうで、姑さ
んが水浴をしていたところ雨が降ってきたので、盥ごと持ち上げて家の中に入れたとか、
暴れ牛をねじふせたとかいう話があります。
玉垣は3人兄弟ですが、次男の松浦潟は平戸公の召し抱え力士、三男の満瀬(三ツ汐)
は草相撲取りであったそうです。
墓の向かって左の横に、
「玉垣」と「松浦潟」の名前と没年が彫ってありました。左側には。
こちらは、小さく「三ツ汐」の字が彫ってありました。
玉垣は、本名「田中吉蔵」明和6年(1769)生まれ、18歳の時、大阪相撲千田川に弟子
入り、「雪嵐」、のち親方のしこ名「千田川吉五郎」。その後、江戸相撲、八ヶ峰額之助に
入門、1年後には幕の内に入り、雪州松平公の召し抱えになり、五代目「玉垣額之助」を
襲名したそうです。
なお、同部屋に雷電為衛門がおり、おかげで15年間関脇に留め置かれ、雷電引退後大
関になりますが、15年間ですから力も衰えて来ていたのでしょう、一年間で引退したそう
です。
なお、雷電の旅日記があるそうで、長崎の中島川の眼鏡橋の下に、戸板を持ち出し、大
水の中で、雷電は3歩さか昇ったそうですが、玉垣は踏みとどまっただけであったといいま
す。はやり、雷電はそれだけ強かったのでしょう。
玉垣は、その後親方になりますが、仙台で巡業中、文化10年10月、47歳の生涯を終え
ます。墓は仙台の「成額寺」とここ愛野町にあります。
なお、生家跡については何人か聞いて見ましたが、ほとんどの方が、「そんな力士がいた
ことは聞いたことがあるが・・・」という程度。ここらあたりかな、と思うところの近所の方に
聞くと、養子を取ったり名前が変わったりで、なんにも分からないだろうとのこと。やっと捜
して行って見たら、新聞の写真とピッタリ、一応話を聞こうと思ったら留守で残念でした。
記念碑が愛野町のマルキョウ付近にも建っています。
右の石碑に、「玉垣額之助」「松浦潟喜代七」「天保八年十一月」の文字、左の石碑、右の
方に「三ツ汐」の文字が見て取れます。
せっかく、郷土が生んだ力士。今の横綱級の力士ですから、忘れないで欲しいと思いま
す。明日は、六代目、小浜の玉垣額之助についてです。こちらは、横綱になっていた力士
なのですが・・・・また明日。 (参考:小浜町郷土誌・長崎新聞)
良かったら、どちらかポッチしてね。
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