たった一人のオリンピック~山際淳治
2月26日の東京マラソン。公務員の市民ランナー川内選手残念でした。オリンピックの選
手が専門化していく中、市民のランナーからオリンピックに出るのは我々の夢でもあった
のですが。
さて、川内選手で思い出したのが、この本の中の一編「たったひとりのオリンピック」。
書いたのは山際淳治。「江夏の21球」(この本に入っています)でスポーツ・ノンフィクショ
ン作家として有名になりました。この「スローカーブを、もう一球」で第8回角川書店日本ノ
ンフィクション賞を受賞。1948年生れ、1995年没ですから、早すぎる死でした。若い人
は知らない人も多いでしょう。
さて、この「たったひとりのオリンピック」の主人公は津田真男、実在の人物です。
高校は名門、教育大学(現・筑波大学)附属高校、サッカーをやってたそうです。当然東大
を目指すが3浪。そののち東海大学へ進学。麻雀の日々で留年の可能性が。
それをリカバリーするかのように、「オリンピック」へ出ようという連想が。
その時23歳、モントリオールオリンピックまで1年半。ヨットにするか、アーチェーリーをす
るか自転車にするか、その時思いついたのが、マイナーな競技の一人乗りボート。痔の問
題、ボートの問題、練習場の問題を抱えながらも、練習を始めて2ヶ月後、記録会で思い
も寄らぬ良い成績。その後、自分で艇、オール、漕ぎ方に独自の工夫をおこない、昭和5
1年に”お花見レガッタ”で優勝。オリンピックまで手が届きそうになるが、漕艇協会はシン
グルスカルでなく、エイトを送ることに。夢破れるが、次のオリンピックを目指すことに。
学校を卒業するが就職と練習の問題。いろいろな職業、アルバイトを経験しながらも、オリ
ンピック代表に選ばれる。そのオリンピックが、「モスクワオリンピック」。ご存じのように、
アメリカに右へ習いで日本もボイコット。
しかし、この作品があるおかげで、一人でオリンピック代表を勝ち取った青年の名前は残
っていくでしょう。
思い出しましたが、30年ほど前、オリンピックのマラソン選手も出場する経費がなく(当時
はオリンピック選手といえどもアマチュアということで援助は少なかったそうですが)駅前に
募金箱を下げて、募金をしてもらったそうです。シンクロナイズドスイミングの指導者井村
雅代元監督も、シンクロが今みたいな成績でなかった頃は、一日指導して、交通費込みで
手当が数千円だったそうです。皆がんばってるのですね。
私ももう少し若ければ・・・一時間6キロで走っていたのですが(歩くのと同じくらいか)・・・
しかし、市民ランナー川内優輝選手まだ25歳。夢に向かって走って欲しいですね。
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