アライバル★ショーン・タン~この不思議な絵本
古い本ではありません。作者がわざと古ぼけて表紙を描いたものです。
少し大型の絵本というか、絵による小説というか、どんな言い方をすれば良いのか、少し
戸惑うような本です。表紙を開けたとたんに
こんな感じの絵が。内容はひたすらに絵ばかりで、文字はまったくありません。先日、「ユゴ
ーの不思議な発明」のことを紹介しましたが、あの本の、文字の頁をなくし、文字の頁を全
部絵で描いた本だと思えば良いでしょう。
一応ストーリーは、絵を追っていけば分かります。
親子3人の父親が一人異国に行き(移民)、その出発、船旅、異国での入国手続き、言葉
の通じない不便さ、戦争、等々、そして親子の再開。絵を見ていけば、文字を読むより、物
語が分かる、というより一つ一つの絵が、いろんな事を語りかけてきます。シュールな場面
もあって、ここらは自分で空想するよりないでしょうが・・
全編、セピア系の絵です。なにか、昔の無声映画を見ている感じ。
裏表紙の讃辞、アート・スピーゲルマン(「アウシュビッツを生きのびた父親の物語」の作
者)によるとこの本は「グラフィック・ノヴェル」だと言うことで、次のように書いています。
「・・・昨今”グラフィック・ノヴェル”への関心が高まりを見せるなか、まさに絶好のタイミング
で到着し、従来の概念を超えた極めて意義のあるスタイルを確立した。つまりそれは。イラ
ストで語られる小説(漫画ではない)であり、コミック本が生まれる以前からあったサイレン
ト映画や絵本と同じ言語を使った文字のない物語なのだ。・・・・」
とにかく、不思議な本でした。この作者の絵?イラスト?でカフカの小説を描けばピッタリの
感じがするのですが・・・・
本日のおやつ「抹茶のなんとかかんとか」。家のポピーもきれいに咲きました。
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コメント
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はじめまして、ブログ村の「おすすめファンタジー」から来ました。
古いものって、それだけで謎や秘密がある気がして
わくわくするのですが、
こちらの「新しくて古い」「古いけど新しい」絵本は、
まるで本が時間を飛び越えているかのようで
内容もですが、本の存在自体が「不思議」としか
言い様が無いような面白い本ですね…。
いやー、こんな素敵な絵本があることを
知らなかったなんて、もったいない人生を歩むところだった!
是非自分でも手に取ってみたいと思います!
投稿: 読書びと | 2012年5月27日 (日) 01時00分
コメントありがとうございました。
私も、この本図書館で偶然見つけ、引きつけられ一気に読んでしまいましたが、なんとも、奇妙でありながら、温かい感じのする絵本でした。
どちらかというと、大人の絵本でしょうが、絵の一つ一つを見ていくと、不思議に懐かしい思いにとらわれる感覚がしてきました。
非常に想像力を必要とする本ですが、その分読んだという充実感は味わえます。是非一読を。
投稿: sugikan | 2012年5月27日 (日) 18時05分