四千万歩の男(井上ひさし)~やっと読了しました
読み始めたのが、9月中旬頃、途中目がおかしくなったり、持病が出たり。また、老眼の
上、途中何冊かの本を併読したりで、やっとのこと読み終わりました。
題材が題材なので、難しい本かと思ったのですが、そこはそこ。ちゃんと、測量の方法、器
具、日記、書簡等ノンフィクションを交えながら、井上ひさし流の人情話、推理話、ユーモア話
を交えながら話が進んでいくので、飽きることがありません。なにせ、若き日の二宮金次郎
十返舎一九、葛飾北斎まで出てくるのですから。
ついでにと思って、こんな本まで買ってみました。
これを見ると、伊能忠敬がいかすごい地図をあの時代作ったのか分かります。
とくに、現代のように「三角測量」また、精密な機械を使ってではなく、「導線方」という歩
測、間縄等で距離を測り、方角を定め一日分の測量記録を一枚の地図(小図)にまとめて
ったのです。ただ、それを補うために、「天体観測」「遠山仮目法」(遠山など目標を定め、
見えはじめから見えなくなるまでを何回となく計って位置を正確に掴む方法)を使ったそう
ですが、この地図を見ると、言ってみればそんな原始的な方法でこの地図を作ったのはまっ
たく見事なものです。
50歳を越えて(なんで50歳を越えて学問を修めたかは読んでください。ここは面白いとこ
ろです。)算学、天文学、暦学等を学び、56歳から72歳の時まで地球一周を超える距離
を歩いたのはまさに、驚異的な人物です。私なら、女遊びの方を選びますが。(金があれ
ば・・・)
ただ、惜しむらくは作者の井上ひさしさんが亡くなってしまったことです。
後書きで、「筆者は構想の七分の一をようやく越えたところで・・・やがてそのうちにこの小説
をふたたび書き継ぐことになりそうだ。希望的観測でなく、感知器がそう告げている。読者諸
賢よ、その時までお元気で。」と書いています。
何か、井上ひさしさんにおいてけぼりを食ったみたいで残念でなりません。
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